4コマ漫画エッセイ
自身の最たる生きがいともいえる食べ物の気配に、
ちょーさんは声帯を震えさせることさえも忘れ、
くちびるの動きを体全体の躍動に混在させ、
静かに、しかし賑やかに、
全身をもってうなずくのでありました。
えー、
昨日に引き続き、
うれしいことにうなずくちょーさんなのですが、
彼の始まったばかりの人生において、
一番輝いているであろう食べ物へのうれしさは、
その声さえもうばってしまうようです。
口のかたちだけは、
確かに「まんま!」と言っているかの様なのですが、
声に出すことよりも先に、
そのうれしさが体中をかけめぐって、
こんな無声映画のような光景になるのでしょうか。
そんな愛くるしい反応で答えてくれるちょーさんに、
ごはんを用意しているときはもちろん、
ごはんじゃない時までも、
この静かな同意が見たくて、
「まんまたべる?」と言ってしまいそうになります。
ひねくれてしまうのが怖いので、
言いませんけどね~
と言いたいところですが、
実際はもう何回かやってしまいました!
だって、かわいいんだもの!
冷静になりなさい、パパスさん!
仮にあなたが、
ヒゲでハゲのいわば、
いつも望みを叶えてくれる魔術師のような存在に、
「つむじに魔法をかけてあげようか?」
と言われ、すぐに
「うっそだよーん!あげないよーん!」
と言われたなら、どんなに傷つくことでしょう!
それと同じことを、
ましてや心象面で未成熟な幼子に、
何度かやったですって!?
恥を知りなさい!
ご、ごめんなさーい!
・・・。
という具合に、
もう誰にも怒られにくい年齢になったわたくしパパスは、
自身に喝を入れるべく、
とても哀しい想像をしたのでした。
しかし、
これはなかば冗談ではなく、
かわいいからという心理のフィルターに隠れて、
ちょーさんの気持ちをもてあそぶようなことがあっては、
絶対にいけない、
誰しもがしあわせの色眼鏡を知らぬ間にかけてしまう、
彼らが純粋無垢である今だからこそ、
親であるわたしたちは肝に銘じておかなければいけないと、
真剣に思うのです。
そしてそんな盲目に陥ってしまいそうになる場面は、
意外なほど多くあるのです。
もうちゃんと、
一人前にショックを受けるようになったちょーさん。
抱っこしていればいい時期も、
出るものが出たら替えてやればいい時期も、
それらでないならとにかく腹を満たせばいい時期も、
みんなそろって過ぎ去ったんあだなぁと、
ちょーさんの成長とともに、
実感するこの頃です。
(2012.02.09 UP)
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